HOW TO MAKE A NEW “SYUNSOKU”SHOES
新しいジュニアスシューズの作り方、
ジュニアスポーツシューズ 「瞬足」
Achilles
世界観を表現し、本当に子どもが欲しいと思う靴を
子どもに響く、ヒット商品を生み続けるアキレスのジュニアスポーツシューズ「瞬足」。
グラウンドのコーナーを走りやすいように設計した左右非対称のソールが特徴のシューズを皮切りに、
累計販売足数7,500万足を超える“ジュニアシューズの巨人”は今、新しいジュニア市場の開拓を進めています。
商品企画とマーチャンダイジングの一翼を担うのは、子供・スポーツシューズグループの高住明日香さん。
従来の瞬足ではリーチできなかった市場に、アキレスの子供靴の魅力を伝えながら、
新規のお客様を開拓する靴作りを目指す、高住さんに聞きました。
――高住さんのキャリアと、お仕事について教えてください。
大学時代は、東京工科大学で空間演出コースを専攻し、なかでも立体系のデザインに興味をもって
デザインや写真、動画制作などを学んできました。
アキレスに入社したのは2018年で、現在4年目になります。
新入社員の頃に小学生女児ナンバーワン雑誌「ニコ☆プチ」の
スクールブランドである「ニコ☆プチスクール」のシューズ商品化と、
ジュニアスポーツシューズ「瞬足」のファッションライン「エスエル・バイ・シュンソク」の立ち上げに携わり、
現在その2ブランドと瞬足の一部のMDを担当しています。
就職活動では、何かプロダクトデザインに関わっていきたいという思いがあって、
アキレスにはデザイン専攻で入社しています。
アキレスはシューズで有名で、もちろん「瞬足」も知っていたので、
社内で配属を希望する際には「壁材か、シューズか」の選択で、シューズを選びました。
MD(マーチャンダイジング)が主な業務になりますが、営業も担当し、得意先ももたせていただいています。
ビームス、シップス、グローバルワークなどファッションのセレクトショップが担当です。
(高住さんの上司で、シューズ事業部 子供・スポーツグループ 営業三課課長の堀 哲郎さん)
――彼女が手掛けてくれた「エスエル・バイ・シュンソク」がオシャレなファッション系の取引先様に評価をいただいて、
新しいオファーをいただき取引が始まっています。
コロナ禍で運動会や外で遊ぶ機会が減り、子供靴の市場は全体でも前年比85%程度と大きな苦戦をしましたが、
高住さんたちが手掛けた「瞬足」の新コレクションや、漫画「鬼滅の刃」とのコラボレーションが好評で、
「瞬足」の販売規模はコロナ禍前の水準に戻ってきております。
――子どものための靴作りで、重視していることは何ですか?
「瞬足」というと「ギラギラした発色の鮮やかなジュニアスポーツシューズ」という印象が強いのですが、
「エスエル・バイ・シュンソク」では、これまでの色や雰囲気から離れて
「お母さんが子供に履かせたくなるような」シンプルで服に合わせられる、走れるカジュアルシューズを作っています。
「エスエル・バイ・シュンソク」は現在、販売価格帯が3900円のラインと、
トレンドを意識している4500円のラインで構成されています。
昨年からスタートしているライセンスの「瞬足アパレル」とのコーディネートも提案していて、
トータルコーディネートもできて「オシャレで履きやすい」ことが特徴です。
「ニコ☆プチスクール」については「小学生女児の足元にカワイイ魔法をかける」というコンセプトがあって、
「ニコ☆プチ」の読者モデルや小学生のリアルな声や要望を反映し、
女の子が本当に欲しい靴を考えて作っています。
学校生活ももちろん可愛く、オフでもしっかり洋服に合った物作りは、
子どものための靴を作るうえで欠かせない要素です。
アキレスのシューズ作りは、素材から製品化まで一気通貫でできることが競合他社にない強みで、
商品企画もデザイン、MDなど多岐にわたります。
私がしているのはそのデザインを作る前に今シーズンはどんな路線でいきましょうか、
テーマは、ラインナップ数は、どれぐらいの販売規模を目指しましょうか、というMD(マーチャンダイジング)と
営業計画を担当しています。
2019年の秋冬商品から参加し、仕事が理解できたのは20年秋冬からでしょうか。
実際にやってみて、やはりシューズ作りは難しいなと思います。
キッズファッションは大人のトレンドの1年ぐらい後に反映する場合が多いのですが、
どのトレンドがキッズに反映するか予測が難しい。
子ども靴には独自の流行もあり、子どもたちが本当に欲しいと思う靴を作ることは本当に難しいのですが、
お得意先や社内などで「はまったよ」と言われると嬉しいです。
今は町で自分がかかわった靴を履いている子を見かけることがあり、とても嬉しいですね。
――「鬼滅の刃」と「瞬足」のコラボレートシューズも手掛けていますね。
「鬼滅の刃」と「瞬足」とのアニメコラボレーションシューズ「鬼滅の刃シューズ・プロデュースド・バイ・瞬足」は、
アニメ「鬼滅の刃」のブームが起きる前からの取り組みでしたが、第一弾から携わらせていただいています。
子供靴でよくあるシューズのアッパーに「単にキャラクターをつけた靴」を作るのではなく、
鬼滅の刃の“素晴らしい世界観”だったり、“登場人物のキャラクターや魅力”を、
概念要素としてカラーや柄などで表現することを心がけてきました。
第一弾は2品番8カラーで、主人公の竈門炭次郎、禰豆子、我妻善逸、嘴平伊之助の4人のモデルだけでしたが、
アニメ流通だけの販売ながらSNSを中心にとても大きな反響をいただきました。
11月から販売される第二弾は、「柱」といわれる鬼殺隊の最高位の9人のキャラクターと
栗花落カナヲ、鬼の猗窩座(あかざ)、主人公の炭次郎のヒノカミ神楽バージョンの12カラー展開なのですが、
シュータンにそれぞれのキャラクターモチーフの織ネームをあしらっていて、
キャラクターをより感じられるものになっています。
子供たちが「鬼滅の刃」の世界を楽しみながら、普段でも使用できるシューズとなっている点が、
今回のシリーズの特徴だと思います。
(上司の堀さん)
――当初、「鬼滅の刃シューズ」は、アキレスへのOEM(相手先ブランドによる)生産のご依頼だったのですが、
高住さん自身が「鬼滅の刃」の原作の大ファンで、
高住さんから「これから絶対に来る、すごく良いアニメなので『瞬足』と一緒にシューズを企画できれば」
という意見をもらい、先方と相談して「瞬足とのコラボシューズ企画」を実現していただきました。
アキレスとして、これまでも子供向けのキャラクターシューズという商品は手がけてきましたが、
瞬足でコラボをするというのは、彼女がシューズ事業部に提案してくれたことで実現した“新しいビジネススタイル”です。
11月から発売する「鬼滅の刃」の商品はSNSを中心に告知をして、
予約による受注分のみを生産していますが、想像を超えるご予約をいただき、期待の大きさを実感しています。
――新しい顧客にどうアプローチを?
瞬足は20年近い歴史があり、小学生を中心にしたジュニアスポーツシューズとして販売しているので、
顧客の入れ替わりは常に意識しています。
私もMDとして「これは企画として新しいんじゃないかな」と思ってアイディアをだしても、
実はもうすでにやっていました、ということが多々あります。
そこで自分からできる提案としては、サブカルチャーやファッションが好きなので、
自分が好きなフィールドを商品群に落とし込むことに挑戦しています。
憧れのブランドが参加する海外コレクションもアニメも好きですし、音楽や漫画、アニメも意識しています。
「エスエル・バイ・シュンソク」では20年秋冬はアーバンミリタリー、21年春夏はゲームスケープをテーマに、
大人のトレンドを入れています。
コロナ禍もあって、大人も子供も家で遊ぶ機会が増えてゲームに触れる機会が増えているので、
ゲームや近未来的なデザインを落とし込んだマークを隠し入れたり、
蓄光などの機能性のある素材を採用しています。
「ニコ☆プチスクール」では、小学生女子にアンケートをとって、
音楽やTikTok、YouTubeなど流行っているものを私も体験しながら企画につなげるコンテンツや
カラーリングを考えています。
その世代の子たちが喜んでくれるスタイルを心がけていますが、
先週まで好きでも今週はちがう、ということも多くあるので、新しい情報の流れを意識しています。
「瞬足」は長年多くの子供たちに愛されてきたブランドで、
「瞬足じゃないとダメなんです」と言ってくれる親御さんも、子供たちも沢山いらっしゃいますので、
これからも「いつまでも長く愛される、生活の基盤にあるような靴」として、成長していきたいと思います。
「鬼滅の刃」に続いて、漫画「呪術廻戦」との協業もエスエル・バイ・シュンソクではじまっていますので、
今後も音楽やファッション、デジタルコンテンツなど、サブカルチャーと瞬足がともに取り組むことで、
子どもたちを喜ばせ、瞬足の世界をさらに広げる靴作りができると思います。
私個人が今後の挑戦として考えていることは、上司や先輩と比べると、まだまだ靴の知識が足りていないので、
靴の構造や、足についての知識を得て、シューフィッターの資格を取得したいと考えています。
デザイン面ではデジタルツールや、バーチャルシューズなどの最新技術を取り入れて
新しい物作りに挑戦していきたいと考えています。
――「瞬足」ファンの子供たちにメッセージをお願いします!
いつも、「瞬足」を大切に履いてくれて、ありがとうございます!
「瞬足」にはとてもたくさんの種類の商品があって、走る時の蹴りだしや、機能ごとに差別化された商品が揃っています。
スパイクの位置や固さなど、それぞれの商品にこだわりのあるソールがありますので、
靴の裏までよくみてもらって自由研究ができるほどです。
ぜひ、瞬足を履いて生活を楽しんでください!
高住 明日香 さん ASUKA TAKASUMI
アキレス株式会社 シューズ事業部 子供・スポーツグループ 営業三課で、
「瞬足」や「ニコ☆プチスクール」などのMD、マーケティング、SNS企画などを手がける。
尊敬する人はアナ・ウィントー、好きなブランドは「グッチ」「ディオール」のほか、
「パメオポーズ」「メルトザレディ」など。
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